こんにちは、講師の尾崎です。
先月は中尾講師とのデュオライブも盛況に終わり、やはりギターデュオは良いなぁと感じるライブでした。こんなことを言うと語弊があるかもしれませんが、やはりギターというのは同じ楽器同志のデュオ演奏をする上では最もそれに適した楽器ではないかと感じます。勿論、ボーカルデュオ、ベースデュオ、ドラムデュオ、ピアノデュオとそれぞれ素晴らしいものがありますが、ギターデュオはその中でも一番多く存在し演奏されているデュオ形態ではないでしょうか。やはり、和音もメロディも演奏しやすい上に楽器自体がコンパクトといった特性も理由のひとつでしょうね。あ、そもそもギタリスト人口自体が多いですね。。
そこで、今回は私のおすすめするギターデュオ作品を少し紹介したいと思います。
二人の超一流スタジオミュージシャン佐橋佳幸氏と小倉博和氏のユニット「山弦」の1stアルバム「JOY RIDE」です。佐橋さんと言えば小田和正や佐野元春等、小倉さんと言えば槇原敬之や福山雅治等、国内トップアーティストのサポートやアレンジ等を数多く手掛ける超多忙なギタリストです。その二人が手を組んだギターデュオ「山弦」の楽曲はポップでありながらも、その職人技ともいえるギタープレイと緻密なアレンジが秀逸で、「アコースティックギターデュオ、ここに極まれり」といったアルバムです。James Taylerへのオマージュとされる「Song for James」に始まり、珠玉のバラード「祇園の恋」、カポを使っての和音の絡み合いが心地よい「春」、軽快なストロークとテクニカルなフレーズのタイトルチューン「JOY RIDE」等、素晴らしい楽曲とギタープレイのオンパレードです。後に出た2ndアルバムではエレキギターでの楽曲もあり、DVDではお二人のプレイが映像で垣間見れます。以前ボクがレッスンさせていただいていた音楽教室がその昔ヴィンテージの楽器屋さんも並行して営んでいて、その頃に福山雅治のツアー中だった小倉さんがフラッと現れ驚いた事がありました。ミーハー心に火が点き、一緒に写真をとっていただいた(勿論、今も持っております。笑)という思い出があります。その時、作曲について聴いたのですが、譜面などはほとんど書かずにギターを弾きながらあれこれアイデアを出しつつ作り上げるのだそうです。ちなみに廃盤となった山弦のスコア「山スコ」は現在ネット上で高値で取引されるファン垂涎の非常にレアなアイテムとなっているようです。
2005年メジャーデビューした神戸発のアコースティックギターデュオ「DEPAPEPE」はインストルメンタルのユニットとして初めてタモリさん司会の人気番組「Music Station(Mステ)」にも出演した若手ギターデュオです。前述した山弦にもましてポップなその楽曲は、歌メロのようなわかりやすいメロディで、Mステに出た時も全く浮いている感じはありませんでした。山弦はお互いがソロギターを弾いているかのような複雑に和音同士を組み合わせて編んでいくという作業であるのに対して、DEPAPEPEは一方がコード、一方がメロディを弾くという、わりと分業がはっきりしています。コードストロークのシャープさやハモリフレーズの切れの良さは素晴らしいものがあり、元々お二人がハードロック等のテクニカルなものを好んでいたというのが伺えます。個人的にはやはり1stアルバムの中の「START」がお気に入りの一曲です。勿論、アルペジオを駆使したバラードや、クラシックの名曲アレンジ等も非常に聴きやすいです。
前述した二組がユニット名を冠したパーマネントなアコースティックユニットであるのに対して、セッション的なギターデュオで昔から大好きなギターデュオアルバムがあります。フランスのジャズギタリスト、ビレリ・ラグレーンとシルヴァン・リュックのデュオアルバムその名もずばり「Duet」です。ジャズギターデュオアルバムの多くは、スタンダード曲(そのほとんどがジャズファンにしか知られていない曲)で、やはり演奏やリズム、音色もジャズ的であったりと、まぁジャズというジャンルで発表しているものですから当然なのですが、その他のジャンルを好む人にとってはどうしても敷居の高い印象があります。しかし、このアルバムはジャズスタンダードだけでなくStevie WonderやBeatles等、ポップスやロックの名曲を取り上げて、その曲のイメージを大きく逸脱しない絶妙な演奏を聴くことが出来ます。しかも、プレイの中身は間違いなくジャズの語法を用いたものであり、達人二人によるアドリブの応酬は聴き応えがあります。リズムギターの弾き方も様々なテクニックを駆使して弾いたり、本当にジャズという範疇に収まらないギターという楽器の達人同士でしかなせないアルバムです。ちなみに、ビレリ・ラグレーンは子供の頃から神童と呼ばれ若くしてジャコパストリアス等と共演したりと世界的に有名なギタリストだったワケですが、このアルバムで”シルヴァン・リュック”という名前とその驚異的なテクニックが世界的に知られることとなり、同時に彼の使うギター(Godin)が飛ぶように売れたと聞きます。(実際、ボクも中尾講師も所有してます…笑)実はボクも二人のソロをコピーしたことがあるのですが(動画もあります⇒https://youtu.be/gupKGs3apFQ …笑)、シンディ・ローパーの名曲「Time after Time」から始まるこのアルバム、続編も出ており、ギター・ジャズ好きな方は勿論、ポップス・ロック好きな方にも聴いていただきたいアルバムです。と思っていたら、廃盤なのか、アマゾンでは値段が高騰しておりました。。お会いする機会のある方にはお貸しいたします。。
上記のアルバムの曲はレッスンでも扱うことが多く、聴いて楽しむだけでなく、参考になるプレイが非常に多いアルバムです。レッスンもギターデュオ形式で行うことが多いですし、そのうち生徒さん同士でユニットを組んでイベント出演なんて言うのも出来たら楽しいですよね。
Sputnik Guitar School